SE転職スタートアップガイド 失敗しない戦略とは
山田くん
紹介しよう。「山田くん」と「ゆみ先輩」は、”システムエンジニアの転職活動“について解説してくれる頼もしいキャラクターである。
職業 :客先常駐SE
入社歴:入社3年目
[情報]
常駐先で単純な検証が遅くまでつづき、日々消耗している。
家に帰ってからスキルを磨くために、情報処理技術者試験の勉強をしているが、
残業続きで勉強の時間が取れず、かなり焦っている。
職業 :IT特化の転職エージェント
入社歴:入社6年目
[情報]
大学のサークルはゲーム研究会に所属していた「山田くん」の先輩。
IT専門の転職エージェントで働いている。
転職したい理由をあらためて考えよう
転職活動で1番大事なことは、「転職したい理由」を明確にすることである。どうして転職したいのかを紙に書いて状況を整理して、何を大切にして転職をするのか確認してほしい。
年収UP、スキルアップ、責任あるポジション、通勤時間の短縮、残業減(家族との時間を増やす)など、様々な転職理由が出てきたと思う。初めに伝えておくと、残念ながら転職ではすべての望みをかなえることはできないが、必ずここだけは譲れないという部分を明確にしてほしい。
次に、転職したい理由ごとにオススメの転職方法を以下の順で説明していく
▶ 単純作業がつづく客先常駐先をやめてスキルアップしたい
▶ 会社の将来が不安で転職したい
▶ 激務薄給から年収を上げたい
▶ ブラックな労働環境をなんとかしたい
▶ そもそもSEに向いていないのかもと悩んでいる
▶ Uターン・Iターン転職を検討している
オススメの転職方法
単純作業がつづく客先常駐先をやめてスキルアップしたい
自分が開発に携わったサービスをお客様に届けたいのなら
(B to C)のWebエンジニア
技術力を磨いて自社製品開発をしたいのなら
(B to B)の上流のSIerかWebエンジニア
ITからアプローチする経営戦略を考えたいのなら
ITコンサルタント
山田くんの年齢だと第2新卒での応募もできるし、2017年、2018年のIT投資は良好だから、興味のある仕事を転職エージェントと一緒に探してみるといいわ!
それからプログラミング未経験でもシステムエンジニアとしての素質があると転職できることも多いから安心してね!
プログラミング未経験者の人はこの記事を参考にしてね!
会社の将来が不安で転職したい
▶ 賞与が前年比でマイナスになった
▶ 基本給が下げられた
▶ 会社がサービス残業を強いるようになった
※某有名家電メーカーT社で働いていた管理人の友人は、2017年6月末で転職して、業務に集中している。
財務基盤のしっかりとした優良企業に強い転職エージェントを探す
年収を上げたい
昇給は年に2,000円です。
「私の会社の業績は悪いから、今年の昇給額は2,000円で仕方ない…」と諦めている人に、すぐに年収をアップさせる方法を2つ紹介したい。
年収が上がる会社へ転職する
今の日本経済の状況は、SEの需要に対し、供給量は不足している。つまり、年収アップができる案件は増えてきているので、挑戦した方が良い。繰り返しになるが、今は景気が良いのでチャンスである。
不況になると求人数が減り、求職者が増えるため、競争率があがる。今のチャンスを逃すと、いたくもない会社にしがみつかないといけなくなってしまう。以下の記事に、SEが転職で年収を上げる方法を具体的に記入しているので、参考にしてほしい。
フリーランスになること(起業)
リスクもあるが、能力が高いSEは独立や起業を狙うほうがいい。
また、独立や起業を考えている人へ向けて以下の記事が参考になる。
また、管理人の友人でフリーランスになって成功している人がいるので、参考までに聞いて欲しい。現在、友人はフリーランスとして、iPhoneアプリの固定収入で50万円と受託で月に50〜100万円以上稼いでいる。
フリーランスになる前は、Web系大手の子会社社長としてiPhoneアプリの企画・開発を行っていた。そしてそのアプリが、700万DLと大ヒットした。だが、この成果に対する給与は圧倒的に低かったらしく、雇われ社長のままだと割りに合わないと判断して、フリーランスになったそうだ。圧倒的な実績(技術力)があると仕事を取りやすい。大手広告代理店からの仕事も彼の元に集まっていた。
※縁があり、管理人も某大手広告代理店経由の仕事(ウェアラブル端末とiPhoneアプリを組み合わせた最新製品の作成)に携わったことがある。
ブラックな労働環境をなんとかしたいSE
ブラックな環境というと、以下のような環境だろう。
“常駐先で無茶な納期を設定されて、サービス残業や徹夜でなんとかSEの仕事を終わらせなければならないという劣悪な環境。やっとプロジェクトの火消しが終わって、次はまったりしたプロジェクトにアサインされるかと思いきや、次もデスマ案件。これでは、体を休めることができずに、うつ病になって体を壊してしまう。“
こういった環境に居続けてうつ病になると、自分の価値を大幅に下げてしまうため、一刻も早く抜け出してほしい。落ち着いて働きたい人には、残業の少ないユーザー系社内SEへの転職をオススメしたい。また、社内SEへの転職を考えている人には以下の記事が参考になる。
そもそもSEに向いていないのかもと悩んでいる
SEに向いていないと感じたときは、現状を分析して、異業種への転職を含む取りうる手段を検討すること。異業種への転職を考えている人には以下の記事が参考になる。
Uターン・Iターン転職を検討しているSE
家族の都合で、Uターン・Iターン転職を検討している人は、各地の転職エージェントの情報をまとめているので参考にしてほしい。
予備知識 SE業界の立ち位置
SE業界(SIer)の業績は日経平均株価と相関している。
日経平均株価は、主要な自動車会社、電気会社など日本を代表する会社から構成されているので、
以下のメカニズムとなる。
景気がよくなる —>
日経平均株価が上がる —>
企業のIT投資が活発になる —>
SIerが潤う
今は、日本経済は景気がいい。つい先日、日経平均株価が22,000円台を突破したというニュースがあった。つまり、IT業界は転職のチャンスということは考えておいてほしい。
繰り返しとなるが、景気の良いときに転職するのと、将来の不況時に転職するのかでは環境が違う。不況になると真っ先に削られるのが、IT投資なのでSEは不況の影響を確実に受ける。
以前、私が所属していたSIerの決算を見ると、2008〜2009年の売上高が1/5減った。それに伴うリストラは凄まじかった。事業部ごと無くなったりもした。
地獄のような環境で転職するのと、好況の時に転職するのとでは、大きな差がある。ここだけのIT転職市場を説明すると、好況のときは求人数が多くなるが転職求人者は少なくなる。この理由は、好況だと待遇も改善するため、現状を不満に思う人が不況のときに比べ少ない。そのため、転職求人者の絶対数が少なくなるのだ。
こういったマクロ的な観点から、好景気の今だからこそ、ステップアップ転職を目指した方が良い。
SEの転職期間は約3ヶ月
転職活動の期間は、一区切りで考えられるのは3ヶ月。
以下のスケジュール例を参考にしてほしい。
SEの転職活動 スケジュール例
0〜1ヶ月目:転職サイトへ登録、自己分析、転職エージェントと面談、希望転職先へエントリー
初めにすることは転職サイトへ登録 一歩を踏み出そう
まずは、転職サイトへ登録することだろう。転職サイトによって扱う案件も変わったり、担当するエージェントとの相性もあるので、3, 4件程登録してみて肌が合う会社と付き合うといいだろう。
登録すると担当のエージェントがついて、転職をサポートしてもらえる。以下の記事から、転職エージェントを探してみてほしい。
次は自己分析 戦いに備えて自分の武器(軸)を作ろう
自己分析は辞めたい理由を明確にして、同じ失敗を繰り返さないことを前提に考えること。
また、自分の長所・短所をこれまでの業務と組み合わせて話せるように準備したい。
よくある質問が、「これまでで1番大きなシステムトラブルを経験したときに、どう対応したのか?
暫定的な対応は?恒久的な対応は?どうしてそれを選択したのか?」など、深く質問されることを前提に準備してほしい。
転職エージェントを利用して、希望の転職先を決めていこう
転職エージェントに登録して面談をする。この時に、「自分が転職したい理由」を「転職先に求めるもの」を強く伝えると良い。担当のエージェントから希望にあった会社を数社オススメしてもらえ、そこからエントリーが進んでいく。
管理人が転職エージェントを使ったときは、候補となる会社をエクセルで一覧にして、列に年収、仕事の面白さ、雰囲気、システムの分野、得意言語など、自分の気になる項目を列挙して、◎、◯、△、× と記入して、行きたい企業を決めていった。
1〜2ヶ月目:エントリー、面談
転職エージェントからの情報をもとにエントリー
運が良いと、1つ目の会社で転職が成功することもあるが、基本は、15〜20社受けて、2, 3社受かることが転職市場の相場である。落ちても反省するところは反省をして、その会社とは合わなかったととらえて、どんどん受けて行った方がいい。
結果に一喜一憂してたら、身がもたない。落ちたときは縁がなかったと淡々と受けとめた方がいい。また、転職エージェントにも不採用の理由が通知されるので、フィードバックを元に軌道修正していくと良い。
落ちてもめげずに面接の積み重ね 転職エージェントと二人三脚
会社の中には、面接日は仕事終わりの平日午後7時か午後8時頃や、土日に面接を設定してもらえる。また、平日に有給休暇を取って、数社まとめて面接を受けてみるのも良いだろう。事前に転職エージェントに要望を伝えておくと上手く調整してもらえる。
2〜3ヶ月目:内定、退職準備
待ちに待った内定取得、ただし油断は禁物
ついに、1社目の合格がついに出た。ここであなたは転職活動を辞めるか?それとも続けるか?これは、続けたほうが良い。もしかしたら、知人から会社の内情を聞いたり、口コミサイトの”転職会議”を熟読して不安になるケースがあるかもしれない。その時のリスクヘッジとして、内定はもう1, 2社とれるとベターだろう。
※ここでの注意点は、転職エージェントの立場として、自分の成績となるクローズは目の前なので、1日でも早く契約させたいと思って猛プッシュしてくるので、注意して欲しい。
退職の準備 目指せ、円満退社!
これから先もSEのキャリアはまだまだ続く。SEとしての仕事場が変わっても、将来今まで働いてきた他のSEとまた一緒に働くことがあるかもしれない。そんな時に、迷惑がかかる形で会社を辞めてしまうのは、リスクがある。SE業界は狭い。転職先の会社に、前の会社の社員が常駐SEとして勤めているかもしれない。
「有休消化を希望通りに取らせてもらえない」「先輩から無視される」など、どんなに嫌なことがあっても、軽率な行動は控えた方が良い。グッとこらえよう。
以下の記事は、SE円満退社までの流れを記入したもの。参考にしてほしい。
体が壊れる前に転職しよう!SEの資本は体!
精神的にまいって退職してしまう前に、今の仕事が体を壊してまでやる仕事なのか考えてみたほうがいい。体を壊すと、キャリアダウンになってしまう。
管理人自身、SIerでは激務のストレスがたたって、軽いうつ病になって、仕事を辞める寸前まで追い込まれた。明日、また強烈なめまいに襲われて吐き気がしたらと想像すると不安になった。どうか、体にはくれぐれも気をつけてほしい。
SE転職のまとめ
いろいろ伝えてきたが、転職活動は、新しい環境へ踏み出すことという前向きな視点で捉えるといい。
これがやりたいから、この業界に転職するという視点も大切だから。転職に成功してステップアップをしていくSEが増えることを願っている。